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主要部品も量産のO405Nを全くそのまま使用している。現地では、こうした短いサイズはあくまで12m級の補完的役割を担い、絶対数が少ないことから採用されている開発手法と考えられる。
この車のエンジンは、CNGのOM447hG型(12L6気筒)で、1994年から生産されているバス用のガスエンジンである。出力は238PSで、すでにショーの地元ハノーバーの事業者でも、同じエンジンを搭載した12m級バスが多数市内を走っている。
CNGに関しても機構的な部分はべースの車そのままで、燃料も屋根の上に搭載される。小さなボディサイズと低公害のエンジンの組み合わせは、旧市街などでの仕様を想定したものである。また、詳細は明らかになっていないが、大型バスを水素エンジン化し、それを動力に発電して走る水素エンジンハイブリッドバス(O405NUH)も、試験運行のステージを迎えている。
・MAN
路線バスのノンステップ化を終えたMANは、都市間路線バスなどにもノンステップバスの展開を始めている。NU263は、標準的なノンステップ路線バスNL202をべースに、座席数を確保するためホイールベース間の座席下の床を1段上げたタイプのノンステップバスである。エンジンも、路線バスよりも若干強力な1OLエンジンを搭載している。さらに、観光用のバスと路線バスの中間的なバスをいくつか発表しているが、間隙車種にも拘わらず、観光バスをべースに下級志向したものと、路線バスを上級化したものなど選択肢が多い。今後、この種の需要が増えると睨んでの展開のようである。
また、CNGノンステップバスNL232CNGも展示されたが、こちらは特に目新しい部
分はない。屋根上に燃料ボンベ(樹脂で補強を加えたもの)搭載し、12Lのガスエンジン(238PS)を後部床下に左寄せして搭載している。なお、このエンジンはベンツ同様に現地での車載用CNGエンジンのもう一つのマーケットであるごみ収集車にも使用されている。
低公害バス関係では、技術展示としてディーゼル−電気(シリーズ型)のハイブリッドバスがユニットで展示された。前回のIAAでは実車展示のあったプロトタイプ(NL202DE)の発展版で、NL202DEのモーターを専用の低床リヤアクスルに組み込む方式を改め、通常の低床アクスルをプロペラシャフトでモーターから駆動するスタイルとなった。これは、従来のバスのレイアウトを変更せず、トランスミッションに替えてモーターを組み込むだけでよいので汎用バスに取り付けがし易く、コストダウンを図り普及を目指すための方針の変更という説明がされている。また説明には、低エミッション性に加え変速のショックなどもなく快適な乗り心地であると説明されており、決して地球にだけやさしいのではなく乗客にとってもやさしいという部分を逃していない点は注目すべきであろう。なお、システム自体は、ホイト社・シーメンス社との共同開発である。また、詳細は明らかにされていないが水素による燃料電池バスも平行して開発が行われているようである。

 

・ボルボ
前回にノンステップバスB10Lを発表したばかりのため目立った展示はない。なお、コンセプトバスECB(ガスタービンによるハイリッドバス)が展示されたが、これはすでに多くの媒体で報道されているので省略する。

 

 

 

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